世界最北端の共生都市”Symbiosis”として、フィンランドのKemi-Tornioに注目が集まる。ここは、産業界の共生や産学連携を促進し、地域全体のバイオエコノミーの発展を強化するために、北極圏内の産業と組み合わせたサーキュラーエコノミー ・クラスターが存在するからだ。
クラスターの概要を見てみると、
・主な産業は、バイオ、鉱業、金属、サービス業で、副生成物などから付加価値製品がおよそ1.7Mトン製造
・ラップランド地域産業の80%をカバーし、年間50億ユーロの輸出(これはフィンランド全体の輸出7-8%にあたる)
・産業共生額は、年間およそ7億ユーロと推定
具体的にどのようにクラスターを運用しているのかを見てみると、
1、産業共生活動を考える上での各企業のニーズの把握
2、ステークホルダーのネットワーク収集として、企業や研究開発組織、公共機関など
3、具体的なスタートアップ活動として、産業界のパイロットプロジェクトと官民の取り組みを促進
4、産業共生活動のツールボックスとして、共生の可能性に関する情報や実用化に関する指針やそれらの情報源などの提供
5、産業共生活動の可能性や成功事例、サーキュラーエコノミー についてのコミュニケーションの促進
6、産業共生活動の普及に関する実践と指導
7、ベンチマーク&ネットワーク(地域間、国と国、国際的)
8、各方面でのニーズなどの優先順位づけ
クラスターの主な基準として、
・自然資源の有効利用:鉄鋼製品の約90%はリサイクル鋼から
・社会的な価値の創出:現在のところ、潜在的な産業共生ビジネスとして約14事例を確認。300人以上の雇用創出が可能。バイオエコノミーとサーキュラーエコノミー 全体だと、最大500の新ビジネスを提供することが可能。
フィンランドの失業率は、2018年4月現在8.6%である。この国の経済は、このサーキュラーエコノミーの促進にかかっているといっても過言ではない。
(執筆:Tokiko Fujiwara-Achren、トゥルク・フィンランド)