CEのHUB作りを考える「Circular Economy Hubs」フィンランド現地レポート

フィンランドのトゥルク市にある大学で、毎年「Challenge Turku Goes Green」というイベントが開催されています。大学生を対象に、持続可能なイノベーションをコンセプトに毎年テーマを決めて1泊2日のキャンプとしてチームワークをメインに行なっています。

今年のテーマは「Circular Economy Hubs」。このワークショップにオブザーバーとして参加してきたので、その内容を紹介します。

 

【概要】

■テーマ:Circular Economy Hubs

■Hubとは:
①Industrial Hub
②Virtual Hubs
③Community-Based hubs
の3本柱で考える

■アプローチ方法:
①Material terminal & Online store
②CE School
③Sorting Station
④Showroom for CE
⑤Material Processing centre
⑥Sharing platform for Circular Products and services
のいずれかから選択してビジネスモデルを考える

■目標:
①革新的かつ実現可能なCEのHub概念を開発すること
②ユーザーグループとビジネスロジックの定義を確立すること
③機能的なネットワークを構築するために、少なくとも他の2グループのコンセプトと協力すること

■Hubのコンテキスト:
物理的かつ仮想的なネットワーク両方(オン・オフラインネットワークで両立する)

■プレゼンテーションの評価基準:
①実現可能性
②革新性
③視覚的な表現
④他チームとの協調性

(主催者から提供された資料より)

 

 

【ワークショップのプロセスとその内容】

ワークショップが、どのような手順で行われ、どのような内容およびツールを用いたかを紹介します。

プロセス ツールなど
ステップ1:チーム作り 3-4人集まって自己紹介など
ステップ2:アイデア出し ・CEや未来を考える上でのメガトレンドは何か?
(下記①の写真:Sitraが発行したアイデアカード)
・Six Thinking Hats(6つの帽子)、SWOTなど活用
ステップ3:アイデアの深掘り、アイデアのテスト ・ステークホルダーは誰か?(Stakeholders Map)

・Persona

・Scenarios

・Customer Journey

・Storyboards

ステップ4:プロトタイプと視覚化 ・MoodBoard

・Storytelling

・Lean Canvas(事業計画書)

・Blueprint

ステップ5:プレゼンテーション ・Pitch

 

①「Sitra発行の『メガトレンドー未来を考えるカード』」が提供されていました。「ブロックチェーン」「デジタリゼーション」などのテクノロジー分野の概要が書かれているカードなどを参考に、どんなビジネスができるかを考えていきます。

(2枚とも著者撮影)

 

またステップ2番目のアイデア出しの過程で、エレンマッカーサー財団が作成したCEに関する映像を見ながら作業しているグループもいました。

 

あるグループのワークの様子

(著者撮影)

 

【中間発表】

ひとつのグループの中間発表の様子を紹介します。

アプローチ方法は、②のCEスクールを選択。学校とCEショールームの開設を提案。
オフラインとして、学生向けのイノベーションセンターやグリーンハウスを設置。
オンラインとして、インタラクティブなコンテンツのサイトを開設。
いずれも政府からの助成金で運営することを提案。

このような途中経過に対して、キャンプ・キャプテンやオブザーバーから、革新性(既存のオンライン・スクールとの差別化)、他のチームとの協調性を中心に助言しました。

 

模造紙にポストイットを貼り付けて行う従来の方法でプレゼン

(著者撮影)

 

 

 

【プレゼンテーション】

4つのグループそれぞれの発表内容を紹介します。

グループ ビジネス・タイトル ビジネス概要
A 廃棄物流通のための共有プラットフォーム ・オンライン
・企業向け:資源販売、さまざまな廃棄物のフィルタリング、他社向けに情報共有
・一般向け:啓発プラットフォームの提供、少量の廃棄物販売(リサイクルや手仕事用)、地域ビジネスへの啓発活動
B 自動セルフサービス・ソーティングステーション ・オフライン
・電機機器の保守サービスおよび顧客と企業の仲介者としての修理サービスを提供
・Aチームとのコラボレーション
・素材ターミナルや在庫管理のために設備提供、独自の材料販売
・品質チェックサービスとして、企業の特定ニーズに対応するために、ソーティングされた素材を品質管理
C サーキュラー・エコノミー・スクール&ショールーム <スクール>

①オフライン
・物理的な学習空間の提供、ビジネスコンサルタントとして機能

②オンライン
・ゲーミフィケーション、世界中からアクセス可能なプログラムを提供

<ショールーム>

①オフライン
・実践につながるアイデアの創出の場
・イノベーションセンターとしての役割
・グリーンハウス的な機能
・展示ルーム

②オンライン
・インタラクティブなコンテンツ

D 材料加工センター ・オフライン
・AグループとBグループからの余剰繊維を集める
・その材料から衣類やアクセサリーを製造
・製造は、地域コミュニティで行うなど社会的な参画を促進する

 

【結果】

Bグループの「自動セルフサービス・ソーティングステーション」に決定。
評価理由として、
・実現可能性がある(保守&修理サービス)
・革新性がある(品質管理サービス)
・他チームとの協調性がある(1グループとの協働だが、実現可能性も相まって)

 

【総評および雑感】

  • 今回は「Hub」をコンセプトにビジネスモデルを構築しました。フィンランド国内のCE Hubはすでにいくつか存在しており、その中から今回2団体の代表が審査に参加。そこでの実現可能性に特に焦点が当てられていました
  • CEは資源循環が主軸で、多くのステークホルダーとの連携(コラボレーション)が必須要素と言われています。Hubもそのコラボレーションを目的としていますが、中間発表の時点では、他のグループとの連携や助言を実施していないグループがあり、そこを指摘し周囲との連携を考えるよう助言しました。自分たちのビジネスを考えながらステークホルダーとの連携も考えるというのは、やや難しいとの意見もありました
  • 1泊2日という集中した環境の中に身を置き、将来のビジネスモデルを考えるのは、非常に有意義な時間であったと思います。幾人かの学生たちも満足していた様子でした
  • 今回、既存Hubの代表者のみ参加していましたが、その実務者や廃棄物処理業者、さらには企業や自治体、地域住民などを巻き込むことにより、より具体的で実現可能なアイデアが創出されるのではないかと感じました

 

フィンランド国内にあるCE Hubの紹介、CircHubs。トゥルク市内にあるのは「Topinpuisto」。

(著者撮影)

 

《執筆:藤原斗希子 Tokiko Fujiwara-Achren/Circular Economy Lab JAPAN発起人》

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