世界循環経済フォーラム2018終了―CE未来像2050

2018年10月22・23日にかけて横浜で開催された世界循環経済フォーラムが終了しました。2回に分けてその参加報告を致します。

気候変動、グローバリゼーション、人口爆発と都市化、資源の過剰採取と廃棄、経済格差など、いまの社会問題は、”取る→つかう→捨てる”という従来型のリニア経済の延長線上にあります。産業革命後、約200年に渡り発達してきたのが現在の私たちの生産・消費方式です。

今回の会議では従来型のリニア経済では社会のシステムとして立ち行かなくなっていること、「現在」が一刻のときを待たずリニア経済をサーキュラー経済に転換させる重要なターニングポイントだと全体確認したように思います。

いまの世界のCEの普及・進歩段階は全10段階で示すとまだ1の段階です。国際機関~政府~研究機関~市民の間で、まだ研究している真っ最中で、CEがもたらすメリットはなんとなく分かってきたものの、はっきりとした未来像がつかめていない状態です。複数の国々がCEロードマップを定めましたが、たぶんこれらの国々も「CEを導入したらどんな未来像になるか」、までは描けていないはずです。いまの段階でやっと世界で分かってきたことは、CEはリサイクルだけの話ではなく、社会の不平等(自然住環境の品質、雇用、教育)も含めた模索手段になるだろう、ということです。

今回、日本で開催された世界循環経済フォーラムのアウトカムについて触れる前に、ぜひご紹介したいことがあります。それは世界循環経済フォーラムが掲げる”2050年サーキュラーエコノミーの未来像(WCEF Visions 2050)”です。

WCEFが目指す、真のサーキュラーエコノミー2050年未来像とは

WCEF Visions 2050より著者が翻訳・抜粋 

【天然資源と製造について】

1.製品は注意、寿命、および次のライフサイクルを念頭に置いて設計されている。 使用済み製品は、3Rアプローチ、アップサイクリング、アップグレードおよび修理によって価値を保持しつづける。

2.製造業や農業などの産業システムは、クローズドループとなり、不要な副生成物が出ない。 グローバルバリューチェーンは第4次産業革命を経て、デジタル技術と自動化によって最適化される。 私たちが知っているような廃棄物は、過去のものとなる。廃棄物は「原料とエネルギー」として認識されるようになる。

3.天然資源の限られた量を認識しており、経済は地球の限界に適応している。 投資は持続可能な事業に向けられている。

 
【輸送とサービスについて】

1.排出のない自動車でオンデマンドサービスを提供。アクセスが簡単で高品質な輸送、さらに利用しやすくなる。

2.ハイスピードコネクティビティとシームレスなデジタル通信で、所有の形ではないさまざまなサービスが利用できるようになる。

3.新たな素材と生化学が燃料効率の良い自動車、燃料、輸送インフラを可能にする。

【食糧と生活】

1.暮らしの場で再生エネルギーを生産し消費する生活。コミューンはトレンドではなく普通のライフスタイルとなる。

2.効率的な都市と農村のバイオサイクルのおかげで、すべての人々のための地産の食べ物が豊富にある。革新的な生産方法を取り、 土壌は自然な方法で肥沃にされる。

3.地域内で不要になった建設廃棄物は、リユーズ可能設計になっている。これらのコンクリート、アルミ、鉄の素材は低CO2排出型のクローズドループで生産されており、モジュラー式建築物に再利用される。

【プラスチック】

1.主要な消費行動として再利用の受け入れが広く受け入れられている。 プラスチックはライフサイクルの終わりにアップサイクリングされる。生産はバージン化石資源ではなくリサイクルされた原料から作られる。

2.バイオベースプラスチックのような持続可能な代替物の使用に移行。

3.私たちの海と陸地は、自然とプラスチック廃棄物がなく清潔な環境である。

【能力】

1.教育は、学習と再教育の生涯にわたる旅として理解されている。 社会は、人間のスキルと能力の価値を十分に認識している。 循環型経済は、個人所得だけでなく、より深い目的を持って雇用を創出する。

2.全職業とすべての人々のために、学校や他の教育機関が「もったいない精神」のような多様な知識と価値観の創造・拡大に注力している。

3.Peer to Peer、cross-disciplinary的学習方法が公的および民間セクターから支援されており、普通になっている。イノベーションとR&Dのための資金調達・支援の強化が、社会的能力を開発するための不可欠なアプローチである。

目を閉じて、ゆっくりと想像してみてください。これだけでも今よりも良い未来像の提示ではありませんか?これが実現するだけで、気持ちの良い住みよい暮らしに大きく近づくことでしょう。サーキュラーエコノミーはリサイクルだけの話ではありません。次の住みよい暮らしを作るための模索手段です。なんだかワクワクしませんか。

Sitra(フィンランド・イノベーション基金)は、サーキュラーエコノミーを気候変動、生物多様性の急速な喪失、不平等の増大に対処する鍵として捉えています。国際社会では、サーキュラーエコノミーを資源問題だけでなく、新たな持続可能な社会像全体の模索手段としてとらえています。そう考えると、国際社会においてサーキュラーエコノミーの注目度の高さの理由が理解できるかと思います。

さあ、ではこの未来像に向けた実現の一歩を踏み出してみましょう。次の記事では会議のアウトカム(成果)をご報告します。

《執筆:佐原理枝 Rie Sawara-Cermann/Circular Economy Lab JAPAN発起人》