ベルリン ライフサイクルアセスメントはサーキュラーエコノミーに対応できるか? ワークショップ現地レポート

前回のブログの続きです。

2019年11月26日にベルリンで開催されたForum for Sustainability through Life Cycle Innovation (FSLCI)の Circular Economy Barcmapには、ドイツ各地やオランダから、ライフサイクルアセスメント(LCA)やサーキュラーエコノミーに関心のある参加者が集まりました。

大学教授、LCAコンサルタント、研究員、サーキュラーエコノミー推進団体、環境NGO、スタートアップ、リサイクル会社など背景は本当にそれぞれです。

Barcampというワークショップの形はそれまでよく知りませんでしたが、おおまかな流れとしては、以下のようなものでした。

1.まずワークショップを開始する前に一人一人が話し合いたいテーマについてプレゼンする。

2. 次に、それを聞いて、参加者全員にとって、もっとも関心の高かったトピックを選ぶ。

3. 選ばれたトピックから、トピック提供者である参加者がリードを取り、全員で話し合う。

この日は、10人程度の参加者で4つくらいのトピックが選ばれました。(写真を撮り忘れたので、CELJのTwitterでRetweetしているFSLCIの投稿をご覧ください。)

なかでも、“サーキュラーエコノミーとLCAについて“というトピックが、ちょうど本職のLCAコンサルタントの方から提案されました。

LCAがサーキュラーエコノミーに対して何ができるのか?という話を、午前中一杯使って、熱のこもった議論をしたのですが、どうやらライフサイクルアセスメント業界方々も、サーキュラーエコノミーへの適応というのは熱いテーマのようです。

なんでも、画期的なサーキュラービジネスモデルと言われていても、LCAで評価してみると、実は環境負荷が通常よりもかかっていた、というケースがあるらしいのです。ビックリ。

そこで、ライフサイクルアセスメントに関わる方々から、興味深い指摘が出ました。

サーキュラーエコノミーとライフサイクルアセスメントでは、そもそもベースとなるマインドセットが違うのではないか?ということでした。

何が違うかと言うと、サーキュラーエコノミーはそもそも「Closing Loop」に軸を置いていますが、ライフサイクルアセスメントは、「サステナビリティパフォーマンスの評価」に軸を置いている部分です。

サーキュラーエコノミーの考え方では、使えるだけ製品をリユースし終わったら、最終段階でリサイクルされ、素材に戻り、また生産調達の段階に戻ります。(有機物を除く、技術的な製品の場合)

しかし、ライフサイクルアセスメントの視点で言えば、Closing Loopに不可欠な「リサイクル」という行為は、輸送やリサイクル工程でのエネルギー消費が増加します。結果的に環境負荷がかかってしまい、通常より評価が悪くなってしまう行為とも言えるのです。

たとえば、一回切りしか使われず、ポイ捨てされてしまう包装容器類を回収し、
トラックで輸送し、大量の水で洗浄し、火力発電で無限にリサイクルしていくことは、果たして環境に良いことだろうか?という視点がそれにあたります。リサイクル工程に必要な、燃料となる石炭や石油も、日本でエネルギーとして利用できるようになるまで、多くの環境負荷を与える工程を経ています。

じゃあ環境評価の結果が良いパターンは?というと、やはり「猫も杓子もリサイクル」ではなく、「リサイクルは最終手段にとっておく」くらいのスタンスが良いらしいのです。

要は、そもそもリサイクルしないといけないものが、なるべく出ないような生産と消費パターンに私たちが変えていくことが、もっとも環境にはベター、という選択肢になります。

ワークショップ内でも、食品や消費財の包装を例にして言えば、そもそもパッケージすることを止めて、自分で容器を持って買いに行くような、量り売りの提供パターンに変えていくのが一番良いのではないか?と、みんなの意見が落ち着きました。

(自分でお鍋を持ってお豆腐を買いに行く日本のお豆腐屋さんもそうですね!)

朝から夕方まで、合計7時間にわたって話し合い、終わったころには参加者の目はしょぼしょぼ、のどはカラカラ、でもポジティブなエネルギーに満ちて参加者はにこやかでした。

さあ、わたし自身の疑問「ライフサイクルアセスメントはサーキュラーエコノミーを測定できるのだろうか?」ですが、このワークショップを通して自分なりに感じた答えは、「測定できる」です。

ただ、サーキュラーエコノミーの指標そのものとしてではなく、サーキュラービジネスモデルが本当に環境負荷を低減させているかチェックする環境評価ツールとして、よく機能できるのではないかと思いました。(サーキュラーエコノミーの指標とはそもそも何か?という問いかけの話はまた以降に。)

「そのサーキュラービジネス、本当に環境に良いですか?」

と、思ったときにライフサイクルアセスメントを使って評価するのが一番いいのではないでしょうか。企業にとってはマーケティング手法の一環としてサーキュラーエコノミーを打ち出すこともあるかと思います。LCAはその点、”サーキュラーウォッシュ”を避ける予防策の意味で、企業の自社プロダクト評価にも使えそうです。

もう一つの自分の疑問、「欧州においてライフサイクルアセスメントはサーキュラーエコノミーにどのくらい対応しているのか?」についてですが、このワークショップからは、欧州のライフサイクルアセスメントの専門家にとっても、サーキュラーエコノミーに適応させることは、やはりいま必死に模索されている課題のように映りました。

ただ、それはすでに議論が始まっていることなので、どんどん適応されていくのではないかと感じています。

今回のワークショップですが、7時間(!)にも及ぶ話し合いで見えた成果は、Key messagesとしてFSLCIのウェブサイトで公開されています。先に挙げたFSLCIのTwitter投稿にリンク先がありますので、ご興味のある方はどうぞ見てみてください。

(ベルリン 佐原ツェアマン理枝)



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